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片想い(東野圭吾)読了。
タイトルから恋愛小説を思い浮かべるが中身はまるで違う。
複雑な男女の"片想い"が錯綜しながら深いミステリー要素が物語を覆っている。
また元アメフト部のOB達との熱い友情。
アメフトのポジションと関連付けした各キャラの性格付けなどの設定が秀逸。
東野圭吾の小説は初めて読んだのだが、かなり読みやすい文章を書いている。
また(私がよく読む作家では見かけない)印象に残る手法がありました。
1つの文章の終わりを句点で締め括る。
その次は前の文章との関連は非常に希薄である。
だが東野圭吾の小説には敢えて1つの文章で終わらせず、
2回に分けて句点を入れる手法があった。
例えば以下のような言い回しである。
「お幸せに」哲朗はそういってドアの間から靴を抜いた。彼女がかすかに口元を緩めた。
顔の前で突然ぱちんと両手を叩かれた時のような顔を彼女は見せた。瞬きは二回だ。
話の内容に戻そう。
物語は元アメフトのマネージャに再会した所で衝撃の告白を受けるところから始まる。
その告白を元に主人公こと哲朗は様々な行動をする訳だが、
次第にこれがタダの事件ではないことに気付いていく。
主人公が探偵役となって事件の真相に近付いていく内容。
単純な事件の裏に隠された複雑な因果と伏線が物語の進行と共に
徐々に結びつき最後には1つの真相に辿り着いていく。
性同一性障害も大きなテーマとなっており、
この小説を語る上で外せない重要なファクターだ。
圧倒的な好奇心で先を知りたくなるという程
強烈なインパクトは生まれなかったが、面白いと言えば頷かざるを得ない。
前半はありがちなミステリーの日常を淡々と読み進めている感じだったが、
事件の複雑さが露呈していくと徐々に面白くなっていく。
前半を乗り越えれば引き込まれる要素は強くなる。
うむ、東野圭吾の小説は今後とも注目せざるを得ない。
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